住宅ローン控除のおさらい、あれこれ

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そろそろ住宅ローンの年末残高等証明書が届き始めてる時期ですね。
先日、税務署での待ち時間でパンフレットを手に取ったので、
今日は皆さんご存知の住宅ローン控除について、おさらい記事を書いてみることにします。

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住宅ローン控除

住宅ローン控除は税額控除という制度です。
算出された税額(所得税、一定の場合は住民税)から税額を控除してくれる(引いてくれる)というわけです。
初年度は必ず確定申告が必要です(2年目以降は年末調整での適用が可能です)。

税額控除額(平成28年中に居住の用に供した場合)

では、いくら引いてくれるのかというと、基本的にはみなさんご存知の借入金の年末残高の1%です。平成28年中に取得等した場合には、住宅ローン等の年末残高の上限は最高4,000万円と決められています。

・一般的な住宅ローン控除

住宅ローン残高(最高4,000万円)×1%=控除額(最高40万円、百円未満切捨)
※控除期間10年

まれに、住宅の購入価格よりも住宅ローンの方が大きい場合(諸経費なども併せてローンを組んだ場合等)があります。
この場合には、住宅ローン残高の1%ではなく、低い方の住宅の購入価格の1%が税額控除額になります。

また、住宅の購入の際に補助金等の交付を受ける場合があります。この場合にも、この交付を受けた補助金等の金額を住宅の購入価格より引いた上で計算するため、金額によっては住宅ローンの方が大きくなることがあるかも知れません。

では、税額控除額が最高の40万円であった場合、減税される額はいくらになるのか?
これは、その住宅取得者本人の所得税額によって変わってきます。

本人の算出された所得税額が40万円以上である場合は、税額控除額40万円を全て引くことができます。一方算出された所得税額が40万円未満の方は、その算出された所得税額が限度です。(一定の場合には、引ききれなかった金額の一部又は全部が住民税で控除されます)

上記のものはオーソドックスな住宅取得等の場合の税額控除額です。
その他にいくつか規定があり、細かな部分で計算が異なります。

・認定住宅

住宅ローン残高(最高5,000万円)×1%=控除額(最高50万円、百円未満切捨)
※控除期間10年

・東日本大震災による住宅の再取得等

住宅ローン残高(最高5,000万円)×1.2%=控除額(最高60万円、百円未満切捨)
※控除期間10年

・特定改修工事(バリアフリー、省エネ改修、三世代同居改修)

特定の住宅ローン残高(最高250万円)…A
A×2%+〔住宅ローン等の残高(最高1,000万円)-A〕=控除額最高12.5万円、百円未満切捨)
※控除期間5年

適用要件(新築住宅の場合)

・住宅取得後6カ月以内に入居し、引き続き居住していること
・家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上であること
・床面積の1/2以上が、専ら居住の用に供されるものであること
・控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること
・民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
・住宅ローン等の返済期間が10年以上で、月賦のように分割返済していること
・認定住宅については、認定長期優良住宅又は認定低炭素住宅であることが一定の書類により照明されていること

※中古住宅の場合、増改築等の場合にはその他一定の要件があります。

必要書類(新築住宅の場合)

・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・家屋の登記事項証明書(原本)、請負契約書、売買契約書等の写し
(敷地等も併せて取得する場合には、敷地に係るものも併せて必要)
・住宅ローン等の年末残高等証明書
・認定住宅の場合は、認定住宅であることを証明する一定の書類

※中古住宅の場合、増改築等の場合にはその他一定の書類が必要です。

住宅ローンがなくても適用のある税額控除

あまり馴染みはありませんが、次の3つの規定は住宅ローンがなくても税額控除の適用がある規定です。

住宅特定改修特別税額控除(平成28年中に居住の用に供した場合)

マイホームについて、一定の改修工事を行い、一定の要件を満たした場合には、改修工事の標準的な費用の10%相当額の税額控除が受けられます。

・税額控除額

バリアフリー改修工事の標準的な費用(最高200万円)×10%=(A)(百円未満切捨)

一般の省エネ改修工事の標準的な費用(最高250万円)×10%=(B)(百円未満切捨)
(太陽光発電設備設置工事を含む場合は最高350万円)

三世代同居改修工事の標準的な費用×10%=(C))(百円未満切捨)

(A)+(B)+(C)=税額控除額

住宅耐震改修特別控除(平成28年中に居住の用に供した場合)

自己の居住の用に供する家屋(平成56年5月31日以前建築されたものに限る)の住宅耐震改修をした場合、一定の要件を満たすときは、住宅耐震改修の標準的な費用の10%相当額の税額控除が受けられます。

・税額控除額

住宅耐震改修の標準的な費用(最高250万円)×10%=控除額(最高25万円、百円未満切捨)

認定住宅新築等特別税額控除(平成28年中に居住の用に供した場合)

新築等の認定住宅を購入した場合には、標準的なかかり増し費用の額の10%相当額の税額控除が受けられます。この規定については、入居した年に控除しきれない額がある場合には、翌年にその控除しきれない金額を控除することができます。

・税額控除額

認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用(最高650万円) ×10%=控除額(最高65万円、百円未満切捨)

注意点

上記の規定ですが、それぞれの要件を満たした場合に、選択適用のものと重複適用可能なものがあります。

<選択適用となるもの>

・新築の認定住宅(ローンあり)
→「一般住宅ローン控除」又は「認定住宅の住宅ローン控除」又は「認定住宅新築特別控除」

・バリアフリー改修、省エネ改修、三世代同居改修(ローンあり)
→「一般住宅ローン控除」又は「特定住宅ローン控除」又は「住宅特定改修特別控除」

<重複適用可能なもの>

・耐震改修(ローンあり)
→「一般の住宅ローン控除」及び「住宅耐震改修特別控除」

なお、上記の規定中の控除限度額については、「特定取得」に係る場合の限度額です。
特定取得とは消費税率が8%又は10%の場合の取得等を言います。
さすがに、もう消費税5%の取引はないでしょうが、一般個人から中古住宅等を取得した場合には、事業者が行う取引ではなく消費税が含まれないため、特定取得にはなりません。
住宅ローン控除の適用はありますが、限度額が20万円と異なります。

また、マイナンバー制度の導入により、平成28年分の申告からは住民票の写しの添付は原則として不要となりました。

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【編集後記】
住宅ローン控除、周辺の規定も含めると意外ととややこしいですね。
実務的には一般のものが圧倒的に多いんですけど、情報を整理できてよかったです。

【昨日の一日一新】
・クノール カップスーププレミアム クラムチャウダー

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