決算書を経営に活かすための一冊。社長、経理担当、会計事務所スタッフ必読の書!

Pocket

試算表や決算書、税金を計算するためだけのものになっていませんか?
しっかり読み解き、経営に生かしていかなければなりません。

img_5292

お金の流れが大事。B/S→P/L→B/Sというお金の循環を意識しよう!

本書は、中小企業の決算書について、基本的な部分からその活かし方まで
うまくまとめられています。
大まかな流れとしては、次のとおりです。

・決算書の味方、特にお金の循環構造を理解する
・銀行の見方を知ることで、融資を無理なく引き出す体制を整える
・現状把握すると共に、将来を展望するために決算書を活かしていく

まず、決算書を活かすためにも、しっかり読み解かなければなりません。
決算書の数字をただ眺めていても、すごく退屈なものになってしまいます。

ポイントは、お金の動きです。
会社を設立するために出資したお金が、どのように使われ、何に変わっていくのか?
お金の動きを意識することで、見えてくるものがあります。

月次の試算表にしても、決算書にしても、まず目がいくのが期間損益が表示されている
損益計算書(P/L)です。
ただし、これらの期間損益の動きのためには、かならず元手となるお金が必要です。

出資した最初のお金が事業の目的のために使われて、損益が発生しています。
スタートはお金が表示される貸借対照表(B/S)ということです。
B/S→P/Lという流れによって、損益が発生していることを理解します。

次に、発生した損益がどこにいくのかということです。
単純に利益が出れば、基本的にはお金が増えるはずです。
そして損失が出れば、基本的にはお金が減るはずなのです。

P/L→B/Sという流れによって、お金が循環して増えているのか、
減っているのかを、しっかり意識しなければなりません。
これが基本の大きな流れです。

この基本が理解できていれば、このような単純な動きにならない場合が
あることを意識することができます。

利益以外にお金が増える要素で、融資があります。
これはB/S→B/Sという流れです。
利益によりお金が増えたのではなく、借入金が増えたことによりお金が増えたからです。

また、設備投資などでお金が出ていきます。
お金は出ていきますが、設備等いう資産は増加します。
これもB/S→B/Sという流れです。

つまり、基本となるB/S→P/L→B/Sというお金の流れを意識する一方、
B/S→B/Sという貸借対照表の中でのお金の動きにも注意を払う必要があるのです。
こうやって見てみれば、貸借対照表(B/S)がとても重要なポジションを
占めていることが分かるはずです。

とにもかくにも、お金の動きを意識して決算書を見ることが大切です。
必然的に、一期分の決算書だけでは流れが把握しきれません。
会社を興して事業を始めたのは、1年間の期間利益のためではないはずです。
設立した時から、循環しているお金の動きを把握することは、
至極当然なことではないでしょうか。

融資返済のための融資にならぬよう、収益弁済の形を形成していく。

事業を行う上で、金融機関からの融資の存在はとても大きなものです。
元手にプラスする形で、利益獲得のために動かせるお金です。
より多くのリターンになるべく、融資のお金を活用する必要があります。

ただ、資金繰りが苦しくなり、借換を繰り返している中小企業が多いのも現実です。
新たな利益獲得のための融資ではなく、融資返済のために融資を受けないと回らない
という異常事態です。

融資を受けることは、悪いわけではありません。
しかしながら、容易に融資受けることで経営状態の問題点を認識せず、
その改善時期を遅らせてしまうのでは、融資は事業継続にとって重石にしかなりません。

何事も後回しはよくありません。
経営上の問題点を解決せずに、融資に頼る経営を続けていけば、
いつの日か破たんすることは目に見えています。

融資を受けるときには、なぜお金が足りてないのかを
十分に分析する必要があります。
そして、その改善のために融資で得たお金を有効に活用しなければなりません。

融資のための融資にならないための方策。
最終的には、融資の返済は利益で行うしかありません。
収益弁済という形を絶対的に理解する必要があります。

原点回帰で今の現状を冷静に判断しよう!

事業を興してから、今までの現状はどのように推移してきたでしょうか。
決算書とキャッシュフロー計算書を活かし、お金の流れに注目しながら、
今の現状を分析してみてください。

きちんと儲けは稼ぎだしていましたか?
お金は増えているでしょうか?
無駄な投資や、節税の名のもとの無駄なキャッシュアウト、

お金を減らすような無駄はなかったでしょうか?

事業を立ち上げて損をしたい人はいないはずです。
高尚な理念等の実践といった部分もあるでしょうが、
やはり儲けを出すことは基本であり、一番重要な部分ではないでしょうか。

融資の返済にも利益(儲け)が必要です。
事業を興せば、目指すのは利益であり、お金が増えることです。
キャッシュアウトしてまで節税する意味は、本来ないのです。
そんな事をしているほど、経営は簡単ではないような気がします。

創業当時に原点回帰して、儲けを出すことに真摯に向き合うことが重要です。
利益は必然、納税も必然。
決算書を読み、活かすために、この本は大きな力を貸してくれるはずです。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

【編集後記】
経営者であれば、やはり決算書は読めていてほしいですね。
その力になるために、税理士は尽力すべきだなと思います。
納税のための決算書を作っている時代ではないです。
自らの企業の成長が感じれるような経営、決算書であってほしいと思います。

【昨日の一日一新】
・かわ平 きつねうどん

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする